日本人の伝統的な食文化に欠かせない「だし」は、乾燥させたかつお節や昆布などから抽出するため、うま味が凝縮されています。
そんな「だし」に含まれるうま味の正体、実はアミノ酸なんです!
アミノ酸は様々な種類があり、「だし」をとる素材によって、抽出される成分が異なります。
今回は、いろいろな素材の「だし」に含まれる成分についてご紹介します。
かつお節は日本人のソウルフードともいわれ、かつお節から取れるかつおだしは和食のだしのベースです。かつおだしは豊かな風味とうま味を持ち、主なうま味成分は核酸系の“イノシン酸”です。だしが主役の「すまし汁」や「茶碗蒸し」などに向いています。
昆布は、かつお節とともに日本料理を代表するだし素材です。昆布だしは上品で控えめなうま味を持ち、主なうま味成分は“グルタミン酸”です。昆布は産地や収穫年によって、だしの風味が変わるため自分好みの昆布を見つけることも楽しみの一つです。昆布だしは精進料理など、野菜料理によく合います。
かつお節と昆布から取る合わせだしは、かつお節に含まれるイノシン酸と、昆布に含まれるグルタミン酸を合わせることでうま味の相乗効果が生まれ、飛躍的にうま味の強いだしになります。合わせだしは、素材の持ち味を生かしたい幅広い料理に使えるので習得しておきたいだしです。
煮干だしの主なうま味成分は、かつお節と同じイノシン酸ですが、かつおだしより酸味が弱く、強い香りを持つだしが取れるのが特徴です。そのため、「みそ汁」や「麺類のつゆ」、「煮物」などに向いています。煮干は、いわしの種類によって味に特徴があります。また関西では、煮干のことを“いりこ”と呼んでいます。
干し椎茸の主なうま味成分はグアニル酸で、かつお節のイノシン酸と同じ核酸系のうま味成分です。干し椎茸の水戻しは、時間はかかりますができるだけ低温で戻すことをおすすめします。高水温で戻してしまうと、戻し過ぎてしまい、苦味のあるだしになることがあります。
アミノ酸は料理にうま味をプラスするだけでなく、疲労回復や肌の保湿など、身体の中でもいろいろな働きをしてくれる成分でもあります。
毎日の食事におだしを取り入れ、おいしく食べて健康的な生活を目指してみてはいかがでしょうか?
次回は、だしの健康効果についてご紹介します。どうぞお楽しみに!